快晴の空の下、心地よい昼下がり。春とは名ばかりの、もはや汗ばむような気候。
素敵な陽だまりに囲まれる中--私が訪れた『蝮谷拳法道場』は墓地の向かいにあり、爽やかで涼しげな風が吹いておりました。
日吉キャンパスには『蝮谷』という絶好の散歩道があり、そこは数多くのサークル・體育會の活動場所となっています。しかし新型コロナウイルスの影響で、集団活動には風当たりが強い状況です。
新歓実施も厳しい状況の中、今回は『少林寺拳法部』さんの活動の様子に密着。高校時代に合氣道部に所属していたPenmarkライター宮崎によるインタビュー、まさに異種武道が邂逅する瞬間です!
「體育會に興味がある」「新しいことをしてみたい!」といった方は必読です!それだけでなく、武道に興味がある方々にも読み応えのあるものとなっています。
また、慶應でひそかに起こっている『#KeioOneTeam』運動についても明かされます。新入生はぜひ知っておくとよいでしょう。
目次
サークルの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
設立 | 1960年 |
人数 | 19名 |
入部期間 | 指定なし・公式ホームページを参照 |
ジャンル | 體育會(武道・格闘技) |
公式SNS | Twitter・Instagram・Facebook・『#KeioOneTeam』(Twitter) |
「少林寺拳法部」の皆さんにお会いした実直な感想
私が今回取材をした場所--『蝮谷拳法道場』はとても厳かでありながら、アットホームな空間。
流石は「礼儀を重んじるスポーツ」いわば「礼儀作法の学問」ともいえる武道。私がお邪魔した際に、わざわざ長椅子を奥から出していただいて、部員の皆さんに温かく迎えていただいてから取材が始まりました。
部員の皆さんから、非常に丁寧な言葉遣いで答えていただいたので、さながら社会人の面接…と思えるほど私も緊張致しました!
最初に自己紹介をお願いします。
道場まで足を運んでいただきありがとうございます。少林寺拳法部主将、文学部四年の坂井康太郎と申します。本日はよろしくお願い致します。
本日は部活の魅力を「生の声」で紹介するため、四名の現役部員(法学部政治学科三年の諸江優さん、法学部法律学科二年の木村隆一朗さん、商学部三年の並木秀太さん、薬学部薬科学科三年の千田有希乃さん)の方々にも参加いただきました。ありがとうございます。
『少林寺拳法』は日本発祥の武道
まず「少林寺拳法」とはどういった武道なのか、教えて下さい!
空手や合気道などと同じく、「少林寺拳法」は日本発祥の武道です。
「剛法」と呼ばれる空手の基礎的な突き蹴りを包含した技と、「柔法」と呼ばれる(合気道に見られるような)相手の体の作りを利用した技を組み合わせたものを「少林寺拳法」と呼びます。
カンフーっぽい印象がありますが、日本武道なのですね。しかし、少林寺拳法は「筋力」など、ある程度の肉体を必要とするイメージがあります。実際に少林寺拳法をするにあたって重要なスキルはありますか?
もちろん、「筋力」があるに越したことがないです。しかし、少林寺拳法は「護身術」という役割を持つので、「ひたむきに技を磨く」「真摯に取り組める」という精神が肝要になります。
その点でいうと、運動経験がなくても入れるため、肉体以上に精神を重要視しています。
「少林寺拳法部」の目指す部活像
(運動オンチの僕でも始められそうな武道!)では、どんな新入生に入部してほしいですか?
部を盛り上げてくれる、真面目に取り組める人が適していると思います。
部員の方はどのようなきっかけで少林寺拳法を選ぶのでしょうか?
私は高校時代に少林寺拳法部に入っており、大学でも更なる上達を目指そう、という動機で入部致しました。
入りたかったサークルの入サー制限に引っかかってしまい、新しいことを始めたいと思っていた矢先、上級生の演武に魅せられたことが始まりですね。言うなれば、「こんなかっこいい人間がこの世にいるのか!」という憧憬がきっかけとなっています。
「演武」は武道の魅力を体現していますよね。合氣道では「演武」が大会の評価となりますが、少林寺拳法の大会の形式はどのようなものなのでしょうか?
大会の評価方法は「演武」だけでなく、「立会」という評価方法もあります。
「演武」は技を決められた順序で繰り出し、精度などを競う形式です。帯色(段級)による部門分け、すなわち自分と同じキャリアの人と戦えるという魅力があります。「立会」は組み手のようなもので、実戦形式で行われます。
ちなみに、部としての具体的な目標をお聞きしても良いでしょうか?
将来的には「全日本学生大会で総合優勝」すべく、今年一年の私たちの目標として(「全日本学生大会での入賞」など)「各々が自身で設けた目標の達成」を目指しています。
活動・練習について
練習頻度はどのくらいありますか?
活動頻度は週4回です。平日は自分の好きな曜日を3日選んで、17:00-19:30で練習します。
土曜は全体練習で、10:00-12:30で行われます。土曜に必修の授業がある方でも振替ができるのでご安心下さい。
ちなみに、合宿は年2回あります。メインは夏合宿で、山中湖で一週間行われます。費用はおおよそ5万円です。
體育會は大変なイメージですが、少林寺は学業と両立できそうですね!ちなみに、バイトや兼サーはできますか?
私は、「律法会」という法律サークルに入っており、ゼミ長をやりながら法律討論会にも参加しました。練習をしながらも、それ以外の活動はすごく柔軟にやらせてくれる--練習一本ではなくて、興味があることは色々と自由にできる環境は魅力的ですね。
慶應スポーツ新聞会でライターとして活躍する者、KPS(慶應ピアノ・ソサエティー)に所属する者もおり、文武両道な面もあります。
部外の風通しの良さ『#KeioOneTeam』
ずばり、この部活のアピールポイントを教えて下さい!
大学の課外活動は高額、たとえばテニサーは10万ほどしますよね。それに対して、初期費用が安く道着があればできるのが少林寺拳法です。とっつきやすさに関して言うと、とても良いスポーツだと思います。
この部活で推し進めている「広報活動」として『#KeioOneTeam(ハッシュタグ慶應ワンチーム)』というものがあります。新歓ができないこのご時世、それぞれのサークル・部活で、広報力に「不公平」な格差が現れている状態です。そこで、少林寺拳法部が嚆矢となって他部とコラボをし「慶應を一つの輪に」繋ぐお手伝いをしています。
部活・サークル選びに迷っている新入生は『#KeioOneTeam』で検索してみて下さい。
部内の風通しの良さ『最強の仲間と最高の勝利』
私も『#KeioOneTeam』を風の便りで聞いていますが、まさか少林寺拳法部の発祥だったとは!これは、サークル内の人間関係のフラットさにも期待できそうですね。
「文章」には関しては厳しい部分があるので最低限のメール・書類マナーは徹底していますが、先輩と後輩がいい意味で近いと言えます。『最強の仲間と最高の勝利』という標語を掲げ、現幹部は「コミュニケーションをとる」ことに重きを置いています。
みんなでご飯を食べに行ったり、一・二年でスキーに行ったりということもありました。
部内恋愛に関しては「風通しが良い」、茶化したりせず温かく見守るという環境が整っています。とにかくタテもヨコも風通しの良い人間関係、これが「少林寺拳法部」です。
最後に、新入生に一言お願いします。
少林寺拳法部は初心者・女子・運動未経験者大歓迎です。
大学時代に何か打ち込んで結果を出したい・新しいスポーツ始めてみたい・繋がりの強いコミュニティーに所属して一生の仲間と出逢いたい・体育会入ってモテたい・就活のアピールなど、どんな理由であれ満足させられる自信があります。一緒に悔いのない慶應義塾大学の学生時代を過ごしましょう。
取材を終えて
少林寺拳法部さんの丁寧な対応、言葉遣い、おもてなし精神には強い感銘を受けました。
道場の立地と人間関係に鑑みると、その名の通り「風通しの良い」體育會という印象です。そして、部活という壁に風穴を開ける『#KeioOneTeam』運動は、まさに慶應の風雲児的存在であり、コロナウイルスに打ち克つ強力な「繋がり」です。
名実ともに「風通しの良い」少林寺拳法部に、一度訪ねてみてはどうでしょうか。礼儀正しさを学ぶ場としても、自分の才能を見つめなおす場としても、訪れる価値が大いにある場所です。