経団連のニュースを受けて、現役慶應生が就職活動の通年化について考えてみた。
経団連は新卒の学生の就職活動について、通年採用を広げていくことで大学側と合意した。春の一括採用に偏った慣行を見直す。能力を重視した採用の動きが強まるなか、大学を卒業した後での選考など複数の方式による採用へ移る。自由な採用活動が広がる契機となり、横並びの一括採用と年功序列を象徴とする日本型の雇用慣行が大きく変わりそうだ。
引用:「日本経済新聞」
通年採用(つうねんさいよう)
年に数回,必要に応じて社員を採用する形態。通常,社員の採用は新卒者を対象にするため毎年春がその時期となるが、通年採用では海外の大学を卒業した者や帰国子女の秋採用など,いわゆる中途採用も含まれる。
引用:「コトバンク」
目次
通年採用によって就職活動の何が変わるのか?
今までは6月1日ないしは、任意の日からしか内定を出してはいけないというルールがあったのですが、そのルールがなくなり、企業が出したいタイミングで内定を出していいというルールに変更されました。
また、これにより大学四年生だけでなく大学三年生に内定を出す事が可能となります。
そこで大学の学業が疎かになる事が大学側から懸念の声が上がりました。就職活動の前倒し(大学三年生からの就職活動等)は、大学での勉学の妨げになります。
そのため、これを嫌う大学側としては、きちんと勉強をさせたいという思いから卒業条件を厳しくする事で、就職活動と大学での勉学のバランスを取ろうという事です。
今後の学生生活に起こる変化
ここからは筆者の私見ですが、端的に言って、大学生活が今までより苦しくなると思います。
就職活動の準備が早期化し、卒業条件が苦しくなると、大企業を志望する学生であれば、大学2年生の頃から就職活動を意識した学生生活を送る必要が出てきます。
下準備ができていないと、就職活動中に大学の卒業条件に悩まされたり、大学の勉学に励みたいのに就職活動が上手くいかなくなるためです。
下記は筆者の友人(現法学部政治学科4年)の就活戦線のスケジュールです。
就活の下準備とは何か?
企業側は新卒採用の際には学生の社会人としてのポテンシャルをみています。
どのような意識を持ち、直面した課題に対してどのように取り組んだのかを中心に問うてきます。
そのため、企業に刺さる形での経験を大学入学後にしているかが大切です。
また、その経験を社会人を相手にうまく伝える能力も必要であり、その様な能力の習得には練習がつきものです。
なぜ早くから準備する必要があるのか?
採用はサークルの新歓だと思ってください。
どのサークルもこの子良いなって思う子を自分のサークルに入れたいですよね?
その際に本当に欲しいと思った子は早め早めの段階から他のサークルに取られないように囲いこんだのではないでしょうか?企業も基本的には同じです。
現状としてインターン採用等、インターンから内々定を出す企業が増えるのは、優秀な学生をできるだけ早期に囲いたいと思う企業として自然な行動でしょう。
そのため、学生側の動きとしては早めに日経大手の会社に囲いこんでもらう事を画策し、対策をより早期から打つ方が増えるでしょう。
これらを見ていくと、理想の大学生活として、早期(大学3年の夏)に日系大手から内定をもらい、大学4年は卒業に向けて勉学に励む事が理想となるのではないでしょうか?
そのため、大学3年生の夏にはある程度完成された姿で就職活動を迎える形になっていくと考えられます。
実際に三田キャンパスで慶應生に聞いてみた!
現在文学部4年の方に経団連の指針についてどう思うかを聞いてみました。
メーカーを志望している彼女は2020卒で2018年の夏からインターン等、就職活動をしているとのことでした。
そんな彼女は今回の決定に対して、「大学生の本分である勉強が疎かになっていくと思う。ただ一方で3年生から内定の出る環境下であれば、自分にあった業界を探せる時間が増えると思う。」と話してくれた。
彼女は、現在の就職活動(2018年の夏からインターン等に参加するパターン)で、特に進級や卒業に関して問題かった事から、通年採用に対してはあまり肯定的ではなかった。
そんな彼女の社会に対する要望としては、大学卒業後1年までを大学在学中の学生と同様に、公平に企業が扱うことを望んでいる。
大学期間は学業に専念し、その後の一年間でキャリアを決める時間を設けるためだ。
しかし、米国や欧州で行われているギャップイヤーは大学入学前、もしくは大学院入学前に学問に対するモチベーションを再確認する意味合いが強い様に感じる。
そのため、その様な制度を日本に馴染ませるのは難しい。企業、大学機関と同等に学生の立場を配慮した形での採用活動形態を実施する事が求められていくのではないだろか。
採用について考えてみて
私は、大学二年生の頃、自分の将来を漠然としか考えていなかった。なんとなく慶應に入学した後、自分の親と同じように日系大手企業に就職する。
そんな安心感の下、バイトで稼いだお金を友達との思い出づくりや酒に費やしてきた。
そんな大学生活がどんどんなくなっていっていってしまうと思うと、なんだか寂しい気持ちになる。