【未来の国民食候補】昆虫食のスゴい魅力を「昆TUBER かずき」さんに聞いてみた。

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食の一番大事な部分は、「食べておいしいもの・楽しいもの」を選ぶということ。

だから、昆虫食は特別なこと、なのではなく、「美味しいから食べる・食べたいから食べる」という形でいいと思うんです。

-昆TUBER かずき

そう語るのは、現在近畿大学農学部に在籍する傍ら、「昆TUBER かずき(昆虫食YouTuber)」として昆虫食を普及する活動を積極的に行っている清水和輝さんだ。

清水さんは、高校時代に昆虫食と出会ってから、自ら「昆虫食」というジャンルに挑戦し、自ら発信を続けている。

さらに、昨年末にはクラウドファンディングで「コオロギ餃子」の製品化にも成功。数々の受賞などを重ね、今もなお精力的に活動中だ。

「イロモノ」として見られがちな昆虫食だが、実はそんなことはなく「一つの食材」として大きな可能性を秘めている。

今回は、清水さんの活動を遡りながら、新たな「昆虫食」の魅力を紹介していく。

プロフィール

項目 詳細
お名前 清水和輝(しみずかずき)さん
大学 近畿大学 農学部4年生
SNS Twitter

高校時代より昆虫を採集し、自分で食べるということをしてきたかずきさん。

大学入学後はただ食べるのではなく、「発信者」として広く活動を始め、「コオロギコーヒー」や「コオロギ餃子」などの商品を考案。

クラウドファンディングで資金を調達するなど、ビジネスの側面からも非常に積極的に活動している。

また、大学からもその活動の成果を認められているほか、公共施設や百貨店で多数の講演やワークショップを実施して昆虫食の普及活動を行っている。

なぜ、「昆虫」を食べるのか?

子どもたちを対象とした昆虫食講座

高山

かずきさん、よろしくお願いします。

早速の質問になってしまいますが、そもそもどうして「虫を食べる」といいことがあるんですか??

かずきさん

まず、一般的なメリットとして、昆虫は育てるのにかかる資源が少ないです。

例えば、「牛肉を食べよう!」と思った時、牛を育てるのに非常にたくさんの餌が必要になる上、呼吸による二酸化炭素の排出が与える気候変動への影響は大きな課題になっています。

高山

聞いたことがあります。

家畜は餌にコーンとかを使うから、食糧資源の枯渇につながりかねない、というお話しですよね。

かずきさん

そうです。

それに対して、虫を育てるのに必要な餌は、豆腐を作る時に廃棄される「おから」だったり、野菜の屑だったり、フードロス対策にもなります。

コオロギは50日程度で出荷できますし、二酸化炭素の排出も抑えられます。

1キロのタンパク質を得るために必要な資源や排出される二酸化炭素を、牛と虫で比較するとこんな感じになると言われています。

画像:編集部作成・データ出典:株式会社グリラス・ホームページ

高山

こんなに違うんですね。

かずきさん

また、虫は可食部分が多く、廃棄する部分が少なかったり、他にもタンパク質が豊富でミネラルなどの栄養も含まれています。

これらが一般的に昆虫食が注目されているメリットですね。

でも、これを聞いたからといって「明日から肉をやめて虫を食べよう!」となりますか?

高山

いや、ならないと思います。

そもそも手に入りにくいですし、、。

かずきさん

そうですよね。ここからが僕の考えです。

発信する側が言うのはあまり望ましくないかもしれません。でも、昆虫食は食べた時に「価値観がガラッと変わる」という体験ができるということが大きなメリットなんですよね。

大半の人が苦手、と思っている虫ですが、食べてみると「美味しい」と感じる。

マイナスからのスタートですから、上がっていくしかないんですよね。笑

実は、昆虫食って、美味しいものなんですよ。

高山

確かに!

かずきさん

みんな、食べ物を選ぶ時、美味しいものを選びますよね?美味しいから食べよう。そう思って食材を買ったり、お店に入ったりするわけです。

だったら、昆虫も「環境にいいから食べる」とか、「SDGsだから食べる」とかじゃなくて、「美味しいから食べる」でよくない????

と思っているんですよ。

高山

当然のことのはずなのに、なぜか新しく感じてしまう。

これが僕らが持っている固定概念なわけですね。

かずきさん

そうなんですよ。「昆虫食」は一部の地域では伝統的な食文化であったという反面、新しい食材なので、食べる習慣がない。

なぜ食べなければいけないのかと理由を求められることが多いです

でも、食べ物を選ぶのに一番大事なのは、安全で美味しいものを選ぶこと。

環境のことも考えたらよりいいけど、その前に立ち返ると一番大事な理由だと考えています。

今はまだ、「美味しい」と言うブランディングが昆虫食には足りてない部分もあると思うので、今後僕はもっと皆さんに「昆虫食」を受け入れてもらえるような環境を作っていきたいですね。

「昆虫」との出会い。

高山

ここからは原点に立ち返ってお話を伺えればと思います。

かずきさんが昆虫食と出会ったのは高校の頃と伺いましたが、最初はどのような経緯だったんですか?

かずきさん

高校の理科の時間に先生が「イナゴの佃煮」を持ってきたんですよ。

見た目とかはそのまんま”虫”という感じで。

虫自体、そこまで好きではなくて、人並みに苦手意識を持っているような感じだったんですけど、その佃煮を食べてみたらめちゃくちゃ美味しかったんですよね。

「虫ってこんなに美味しいんだ」と思って。

高山

僕もイナゴの佃煮は好きです!美味しいですよね。

でも、普通だったら「美味しい」で終わってしまうと思います。でも、かずきさんはその後山で昆虫を採集して食べていたとか、、?

かずきさん

元々は熱帯魚屋さんで売っている「ミールワーム」なんかを学校に持って行って休憩時に食べていて、ヤバいやつと思われていたんですが(笑)

高校2年生ぐらいの頃から山に入ってとにかくその辺にいた虫を食べ始めて。

野生の昆虫を生で食べるのは絶対ダメなんですが、当時は全く知らなかったので種類も調べず、「とにかく食べてみよう」っていう感じでした。

高山

そのまま、、ですか?

かずきさん

そうです。

「あ、これ見たことがないから食べてみよう」って感じでした。

今思うと生きていることが奇跡です。

高山

「昆虫があまり得意ではない」という状態から、そこまでできるようになるのはすごいですね。

「昆虫」の美味しさを広めたい

地元・奈良県斑鳩町の中西和夫町長や小村尚己県議会議員とコオロギを試食。地域への啓発も欠かさない。

高山

そこから、発信者という形になるまでにはどのような過程があったのですか?

かずきさん

当時、「昆虫ってこんなに美味しいよ」っていうことを伝えたくて。

自分で食べて、周りの友達に勧めるぐらいのことしかしてなかったんですが、個人の力では限界があるなと思っていたんです。

高山

なるほど。

かずきさん

そんな時にちょうど、地元・奈良の馬見丘陵公園で内山昭一先生という昆虫食の権威の方の講演イベントがあって参加してみたんです。

その時に「自分もあっち側になればいいんだ」と思ってしまって。

そこでイベントを企画していた県庁の方に声をかけて、そこからいろいろな施設や場所を提供してもらって徐々にイベントなどに呼んでもらえたり、新聞に載せてもらうようになりました。

高山

とんでもない行動力、、、

今はこうして一つのジャンルになりつつありますが、「昆虫食」という分野でイベントをしたり発信していくと、世間の反応も大変そうです。

実際にはいかがでしたか?

かずきさん

一番大変だったのは、「発信者と、受け取る側の価値観の違い」ですね。

僕は、昆虫を食べるのが好きで、美味しいと思っている。でも、大半の方は

「グロテスク」・「気持ちが悪い」・「なぜ食べる必要があるの?」

と思うわけです。そもそも「見るのも聞くのもイヤ」という方もいる中で、その価値観にどうアプローチできるかを考えていくのは大変でしたね。

高山

苦手意識のあった方が興味を持ってくれたこともあったんですか?

かずきさん

そうですね。話を聞く前は「気持ち悪い」と思っていた方に、イベントの後に実際に食べていただいたり、「これから食べてみたいかも」と言ってもらえたりしたのは嬉しかったです。

また、活動を通じて引きこもりの子が食の勉強をしたいと思ってくれたり、関東の高校生が近畿大学を受験したいと言ってくれたりして、

同級生が楽しそうに遊んでいる様子をインスタにUPしているのを見るたびに、何度も普通の大学生に戻ろうとくじけそうになったことがありましたが、それまでの苦労が報われる瞬間でした。

スーパーで「昆虫」が買える未来

「人新生の資本論」の著者・経済思想家の斎藤幸平さんはよき応援者

高山

ここまでのお話で、

  • 「昆虫は環境に良い」ということ
  • 「昆虫は美味しいから食べる」ということ

など、昆虫食に関する新たな視点をたくさん学びました。

今、世界でも注目を集め続けている昆虫食ですが、今後かずきさんとしてはどのような昆虫食の未来を作っていきたいのでしょうか?

かずきさん

昆虫を食べて欲しい、とオススメすると皆さんによく言われるのが、

「昆虫だけを食べろということ?」

ということなんです。

高山

確かに。昆虫食というと、東南アジアで売っている串焼きのようなものをイメージしてしまいがちです。

かずきさん

ですよね。でも、僕が実現したい「昆虫食」の未来はそういうことではない。

食材の一つとして考えてもらいたいんです。

スーパーで食材を選ぶ時に、「肉にしようか?魚にしようか?」と考えると思いますが、その選択肢の最後に昆虫が入ったらいいなと。

食材の一つ、として捉えて欲しいと思っているんです。

高山

それだけ当たり前になるということですね、、

かずきさん

日本は島国なので、新しい価値観を受け入れにくい風潮があるのかあと考えているんです。

でも、昆虫が当たり前にスーパーで買えるようになるぐらい受け入れられるようになったら、いまの社会にある偏見や差別も少しずつなくなるのかな、と考えています。

食という身近な部分であるからこそ、より深く多様性の形成にも役立つのかなあとも考えています。

高山

確かに、視点を変えることで見えてくるものもありますね。

最後に、かずきさんの今後の抱負を教えていただけますか?

かずきさん

いままでは、遊びの延長で昆虫食の普及を行ってきました。しかし、これから、社会に出ていくことを考えたときに、この活動をしっかり形にして、これで生計を立てていくことも視野に入れています。

いまは、

  • 「コオロギ●●つくりました」
  • 「農家と連携してコオロギの養殖を始めました」

などが注目されがちですが、「じゃあそれって誰が買うの?」というところが忘れられている気がします。

需要もないのに、生産しても意味がない。

原点に立ち返ってもっと需要を喚起する取り組みが必要です。具体的にいろんな企業と毎週のようにミーティングをして議論を進めていますし、何らかの形で在学中にしっかりとした成果を上げたいです。

興味のある人はぜひ連絡ください!一緒にやりましょう!!

番外編:昆虫食の魅力!!

井上咲楽さんや昆虫料理研究家・内山昭一先生と昆虫料理に挑戦

昆虫の「美味しい」食べ方

高山

インタビューでたくさん「昆虫食」のお話を伺ってきまして、、「実際に食べてみたい」という方もいると思います。

まず、「虫の形はちょっと苦手だな」と思っている人はどんなものから食べるのがいいのでしょうか?

かずきさん

まずは「パウダー系」がいいと思います。

僕が開発したコオロギ餃子に入っているコオロギや、コオロギコーヒーに入っているコオロギで、風味を味わうところから入るのがいいのではないでしょうか?

コオロギ餃子。見た目も一般的な餃子と変わらない。

高山

普通の餃子と比べてどんな違いがあるんですか?

かずきさん

コオロギの持つ甲殻類に似た旨味があります。

一般的にコオロギは「エビのような風味」と言われているんですけど、まさにそんな感じですね。

餃子にシソを入れたら美味しいよね?みたいな感じで。餃子にコオロギ入れたら美味しいよね、ということで。

昆虫食、というよりは餃子の一つのジャンルであると思っていただければと考えています。

あとは、僕がクラウドファンディングで開発した、「コオロギコーヒー」もおすすめですよ。

高山

コオロギコーヒー、、?

かずきさん

日本で4位の焙煎士・大阪の「サンワコーヒーワークス」の西川隆士さんと一緒に開発したコオロギ入りのコーヒーです。

コーヒーにあうコオロギを徹底的に調べた結果、国産の「フタホシコオロギ」をローストしたものと、ブラジルサントスの中煎りの豆を使っています。

ぜひ一杯飲んでみてください。

高山

見た目も香りも全く普通のコーヒーですね、、、ちょっと香ばしいかな。

早速いただきます。


香ばしい!でも、コーヒーとしてもめちゃくちゃ美味しいですね。

コオロギ、、言われないと気づかないかも、、?

かずきさん

そうなんですよ。

コーヒーは昆虫食の入り口ということで、美味しく飲めるということを大事にしています。

高山

なるほどなるほど。

これを飲んだら、「意外と虫って平気かも?」と思いますね。

上級編:おすすめの昆虫ランキング

※注意:ここで紹介しているのは、昆虫専門店で購入することを前提としています。野生の昆虫を食べる際は自己責任でお願いします。

高山

それでは、ちょっとここからはもう少しコアなお話を伺えればと思います。

「虫」という形をしたもので、かずきさんが美味しいと感じるものを上位3種類教えていただけますでしょうか?

かずきさん

そうですね、、、ベスト3は「バッタ」でしょうか。

茹でた後にフライパンで炒めて食べるとサクサクしていて美味しいです。

特に、バッタは加熱すると赤くなるので、余計にエビ感が出て初心者には食べやすいかもしれませんね。

高山

なるほど、、なんか想像できますね。。

ベスト2は、、?

かずきさん

「セミ」ですね。成虫も食べられるんですけど、幼虫が一番美味しいです。

めんつゆにつけて燻製にしたり、天ぷらや塩茹も美味しいですね。

肉厚ですし、何より味が濃いです。セミは樹液のみを吸っていますから雑味が少なく、しっかり身も詰まっていて、食べ応えがあります。

特に、羽化したての「ソフトシェル」のセミは絶品ですよ。7年間の土の中での営みに感謝です。笑

高山

幼虫なんですね、、ちょっとかわいそうかも、、

堂々の1位はなんでしょうか?

かずきさん

これも幼虫なんですが、、「オオスズメバチの幼虫」ですね。

フグの白子みたいに美味しいと言われていて。湯がいて食べたり、バター醤油でいただくと絶品です。

高山

ええ、、スズメバチですか、、?

日本に生息しているやつですか?

かずきさん

そうですね。日本にいるスズメバチです。

でも、薬剤を使わずに採取するのは命がけですから、そう簡単に手に入るものではないので、昆虫食の中では高級食材です。

高山

なるほど、、、でもちょっと怖いですね。

昆虫を食べる際の注意点などはありますか?

かずきさん

スズメバチはとても危険ですからね。

ただ、共通して言えるのは「絶対に野生のものは食べない」ということです。

また、毒のある虫もたくさんいますから必ず種類を同定してから食べるべきですね。特に、「ハンミョウ系」は食べると危険です。

毒がなくても、自然のものは何を食べているか分からないので、野生のものは必ず加熱して食べないといけません。

あとは、地味ですが、採取する際は、マダニとか、マムシなどにも気を付けてくださいね。興味を持った人は専門のショップで購入するのがおすすめです。

高山

今度、昆虫食のレストランに行くところから始めてみます。

かずきさん、今回は貴重なお話をありがとうございました。

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ABOUT この記事を書いた人

PenmarkNews編集長/24歳/社会人大学生/経験を生かし、大学生をはじめとするZ世代の皆さんの生活がより豊かになる記事をお届けします。
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