東大医学部 河野ゆかりさんに聞く、選択肢の広げ方と、行動する方法論

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二年前の自分は今の自分を想像できませんでした。ですから、二年後の私もきっと今の私と全然違うと思います。

その時その時で必要・最善と感じることを積み重ねていくことで新たな自分を作っていけると思っています。

そう語るのは、東京大学医学部に在籍しながら、テレビ番組「東大王」でも活躍している河野ゆかりさん。

国内最難関ともいわれる大学、学部に在籍しながら「さらに勉強をして視野を広げたい」と願いクイズの世界に身を置くことを決めた河野さん。

今回は、河野さんの視野の広げ方と行動原理に焦点をあてて、選択肢をどのように見つけ、決断していくのかを深掘りしていく。

プロフィール

項目 詳細
お名前 河野ゆかり(こうのゆかり)さん
大学 東京大学 医学部3年生
SNS Twitter

河野さんの活動

河野さんは、東京大学医学部医学科に在籍する現役医学生。

同時にその枠に捉われず、TBSテレビ「東大王」シリーズレギュラーとしても活動中。

また、最近は科学誌「Newton」にも登場。数学者の方との対談など、活動の幅を広げている。

インタビュー

東大医学部(理科三類)に入るまで

 

高山

河野さん、今日はよろしくお願いします。

テレビの「東大王」をいつも拝見しておりますが、このようにお話をお聞きする時間を頂けてとても嬉しいです。

河野さんは現在、最難関とされる東京大学の医学部(理科三類)に在籍されていますが、以前から医学にご興味があったのですか?

河野さん

そうですね。親戚にも医療関係者がいますので、医学には子供のころから興味がありました。

本格的に医学部を目指すきっかけになったのは、中学生の時に観た、若年性アルツハイマーが題材の映画「明日の記憶」でした。難病の研究・治療について考えさせられました。

医学部の中で東京大学を目指した理由は、研究をする事を考えた時に色々な分野の研究の第一人者の先生方がたくさんいらっしゃることと、研究費の予算が一番多く割り当てられているからというのがありました。現時点では研究の道に決めている訳ではないですが・・・。

高山

そうして努力なさったのですね。元々勉強が得意だったのですか?

河野さん

実はそうでもありませんでした。小学校の頃はろくに勉強もせず成績は悪かったです。模試でマイナスの偏差値を取るほどで。(笑)

中学生になってから、自分なりの効率的な勉強方法を編み出し、また習ったことに対して批判的に頭を使って考えることで成績が急に上がりました。

知識が増えると、それまで見えなかったものが見えるようになり、勉強が楽しくなりました。特に数学や物理で、身の回りの物や現象を違った風に捉えられるようになり、その面白さから成績が伸びていきました。

高山

ずっと勉強が得意だったわけではないんですね。意外でした。成績が急上昇したとの事ですが記憶力も良かったのですか?

河野さん

勉強には、

  • 理解&思考力
  • 暗記力

の2軸があると思っています。

最低限、暗記しなくてはいけない事はもちろんありますが、私は無機的な暗記がとても嫌いで・・・。勉強の本質は、考えて導き出すことだと思いますので、理解&思考力の比重を大きくして勉強していました。

「失敗の後悔」より「しなかった後悔」

高山

勉強を重ねて東京大学に合格なさったと思いますが、入学時の心境はいかがでしたか?

河野さん

「よし!これからいろいろな事にたくさん挑戦するぞ!」という気持ちでした。

実家が「経験こそ財産だから、何でもやってみなさい」という方針だったので、とにかく興味のある事を片っ端からやるぞと。

また狭いコミュニティ内で育ってきて世間知らずであるという自覚がありましたので、全く知らない初めての世界に飛び込んで、色々な人の話を聞くようにしました。

高山

素敵な方針ですね。ちなみにどのような事をなさいましたか?

河野さん

高校で生徒会長をしていた時に、フィリピンへの物資支援活動をしたことをきっかけに途上国支援に興味を持ちました。現状を自分の目でしっかり見ようと思って、大学一年生の夏にフィリピンのスラム街に2週間ほどボランティア活動に行き、現地の人たちの生活や学校を体験しました。

他にも、医療系の学生団体でマレーシアのデング熱の課題解決をするプロジェクトを行ったり、途上国の新生児死亡を減らすプロジェクトにかかわったり、医療系ベンチャー企業でインターンをしてみたりしました

高山

行動力がすごい。その原動力は何なのでしょうか?

河野さん

感情移入しやすいタイプなのか、途上国に限らず不遇な状況をみると、いたたまれなくなってウズウズしてくるんです。

途上国支援については、こちらが提供したいものを提供するのではなく、現地の方々が求めているものを提供したいなと。

私たちの考える幸福が、文化や環境の違う現地の人と同じとは限らない、というのが直接現地の人たちと交流して実感したことです。

高山

行動までのスピードが速くて尊敬します。

課題意識を持ったり、やってみたい思っても実際に行動に移せる人間とそうでない人間がいると思いますが、河野さんが行動に移せた原動力はどういったものだったのでしょうか?

河野さん

あちこちにすぐ飛び込んでいくのは子供時代の経験の影響でしょうか。

幼い頃は行動的ではなかったのですが、よく両親が私を未知の世界にポイっと放り込んだので、色々と耐性ができたと思います。

小学生の頃から、知り合いの居ない催し事に参加させられたり、予告無く1カ月間の国際キャンプに放り込まれたり。最初は不安でしたが最終的にはいつも全力で楽しんでいて。(笑)こういう経験から未知の環境に行くことへの抵抗がなくなったと思います。

また、なかなか行動を起こせない場合、社会のしがらみや「~すべき」論に縛られていることが多いと思います。

そういった要素が多いほどストレスフルな状況に陥り、腰も重くなるかと思います。

そういう状態では良いパフォーマンスは出来ないので、冷静に自分の気持ちを見つめ、外からばかりでなく内側も見直すようにしています。したい事だけをしていたらいい、という年齢は子供時代に終わっているので、あまりしたくない事の中にも自分のしたい事の要素を探し、もっと先の目標やそこに到達するための手段としてクリアすべき課題と認識して頑張るようにしています。

高山

確かにそうかもしれないですね。よくわかります。

河野さん

何かをやろうとしたときに、客観的にメリットとデメリットを書き出して、メリットが大きければ行動する、デメリットの方が大きかったらやめておく、とシンプルに考えるようにもしています。何かを始める以上リスクは必ずあります。

でも私は、人生の終わりに「やってしまった失敗の後悔」よりも、「やらなかった後悔」の方がしたくないので、大抵の事は「やってみよう!」という決断になります。

東大王に出演するまで

高山

少し話題を変えて、河野さんが注目を集めるきっかけになった「東大王」についてもお話を伺いたいです。

なぜ「東大王」への出演を決められたのでしょうか?

河野さん

「もっといろいろな事を学べる環境に身を置きたい」という気持ちです。

高山

というと?

河野さん

中高時代から美術や文学など教養として色々知っておきたいという気持ちがずっとありました。

ですが今まで後回しにしてしまっていたので、クイズという「学ぶことが当たり前」の環境に身を置こうと思いました。

大変なことも沢山ありますが、やはりここでも「わからないことがわかるようになる」「知らなかったことを知る」ことが楽しくて。

高山

なるほど。

そういった理由で出演を決められたんですね。

河野さん

元々クイズ経験者ではないので不安だったのですが、ここを逃したら一生知らないままで終わってしまうと思いまして。

一度クイズを始めたら、その楽しさの虜になってしまいました。当初の目的の学びはもちろんですが、みんなと一緒に戦うのが本当に好きで。

高山

先ほど「あまり暗記は得意ではない」とおっしゃっていましたが、実際クイズをすることになっていかがでしたか?

河野さん

クイズに関してはまだまだ学ぶことが膨大にあって、偉そうに何かを言える立場ではないのですが・・・。

無機的に情報だけを頭に詰め込むのは私には向いていないので、全体的な流れを意識するようにしています。

文学や美術なら作品の生まれた背後の歴史や作者の生い立ち、全体の中での位置づけ、現代にどのような影響を与えているかなどを考えながら学ぶようにしています。クイズという観点からは少し遠回りなやり方かもしれないのですが、自分にとっての学びが最大化される方法かなと。

視野が広がるということ

高山

番組に出演するためにたくさん勉強をすることになって、実際に視野が広がったという感覚はすでにありますか?

河野さん

とても広がりました。本当に出演を決めて良かったと思います。

社会の動向にも敏感になりましたし、興味の範囲も広がりました。

高山

視野が広がってみてから、私生活の部分で変わったことはありましたか?

河野さん

大きく変わりましたね。

物事を見る時って何かしら自分のフィルターを通して見ることになると思うんです。

でも、視野が広がるとそのフィルター自体が大きく変わるので、本当に見える世界が全然違います。

同じことに対しても、1、2年前の自分だったら今と同じようには捉えられないだろうなと思います。

高山

具体的にはどんなことでしょうか?

河野さん

文学や芸術は時代や作者の価値観がとても反映されるものです。しかも、中にはとても奇抜なものもあります。

色々なものに触れていると「あっ、こういう捉え方もあるんだ」と気付くことも多くて。

今までは、自分の考えに固執して無意識に他を排除していた部分があったことにも気付きました。

本当にたくさんの方に対してリスペクトの気持ちがわきますね。これからも学ぶことは続けていきたいので、まずは自分が面白そうと感じる世界に足を踏み入れていこうと思っています。

選択肢を増やしていこう

高山

今後も沢山の事を学び続けたいという事ですが、具体的にはどのような事に挑戦してみたいですか?

河野さん

最近お仕事の関係で自分の専門とは違う分野のアカデミアの方とお話しすることも多いです。そのような世界も引き続きもっと知っていきたいです。

他には、前行ったフィリピンのスラムの街の衛生環境を改善することでしょうか。現地で活動されているNPOの日本人の方がいらっしゃるのでそのお手伝いとか。今はコロナで渡航が難しいですが、情勢が落ち着いてきたら今一度街を訪れて出来ることを考えたいです。

また、大学卒業時には人の命に責任をもって向き合える人間になっていなければなりません。

そのために医学の勉強もしっかりしようと思っています。人の命を助ける方法は色々あり、臨床医として患者さんに接する事はもちろん、研究もとても大切です。医療ベンチャーもインターンを通して、大きな可能性を秘めていると実感しました。

もしくは現在は誰も思い至っていない方法で患者さんのお役に立てる日が来るかもしれません。

いずれにせよ色々な世界に触れて様々な価値体系を知っておくことは、たとえ直接的に役立たなかったとしても、私の「医療」というものに対する見方を規定するフィルターとして役立つと考えています。

高山

なるほど。常に学び続けるんですね。

河野さん

二年前の自分は今の自分を想像できませんでした。ですから、二年後の私もきっと今の私と全然違うと思います。その時その時で必要・最善と感じることを積み重ねていくことで新たな自分を作っていけると思っています。

早いうちに目的や方法を絞って視野を狭めてしまわずに、この先決断を迫られたときに、広い視野で見て、今までの知識や経験から一番良いと思うものに絞りたいと思っています。そのここぞという時のために、今は学んだり経験したりする時期なのかなと。

高山

そこにも視野を広げる事が生きてくるんですね。どうしても目標先行で考えがちなので良い事を聞きました。

河野さん

何かを選択するときに、視野が狭いと少ない選択肢の中から選ばなくてはいけないですが、視野が広く知識のある人ならもっとたくさんのアイデアが浮かんで、もっとたくさんの選択肢が見えて、もっと良い物を選べるのではないかと思います。

私は自分が選べたかもしれない最善の選択肢が見えていないこと、選択肢を見誤ってしまうことが怖いと考えています。臆病なのかもしれないですね。(笑)

高山

でも、視野が狭い事自体に気付いていない人もいると思うのですが、どうして河野さんはそこに気付いたのでしょうか?

河野さん

先ほど少し触れましたが、国際キャンプに参加した時の経験が大きかったです。

高山

いつ頃のお話ですか?

河野さん

小学生の頃ですね。10か国程度の子供たちが参加する1ヶ月のキャンプに参加することになりました。

その時に、外国と日本の違いに衝撃を受け、「私はなんて物を知らなかったんだろう、何も見えていなかったんだろう、知るってすごい、知らないって怖い」と子供ながらに実感しました。

高山

それはあるかもな、、

私も思い込みと言うか、自分の信じる世界がすべてと思ってしまうタイプだったので。最近ようやく他の世界を受け入れられるようになったんです。

最後の質問になるのですが、河野さんが新しい事を取り入れながら行動を続けていく上での心掛けている事はありますか?

河野さん

定期的に自分の内面を見つめるようにしています。気を付けていないと自分の外面や周囲の人ばかりに目が向いてしまいます。誰かがこんなことをしているから自分もしなければいけないかなとか。でもそうすると

  • 「人からどう評価されるか」という外的要素

にとらわれ、

  • 「どうして自分がそれをするのか」という行動原理

が疎かになってしまいがちだと思います。

もちろん前者も大切なのですが、自分の頭で考え、自分の感性を大切にして、自分の人生を生きるという観点では、自身と十分に向き合うことに時間を割くことも大切だと思います。

生きていく中で快・不快を分類してその理由を探ることで、シンプルに選んだり行動したりできるようになりました。

高山

そういう考え方があるんですね。勉強になります。

ところで、新たに一点お聞きしたい事ができたのですが・・・。こうしてお話を伺っていると、新しい考え方や視野の広がりを感じたりするのですが、河野さんは新しい考え方や視野を手に入れた時、今までのものをどう処分していますか?

河野さん

そうですね・・・。私の場合は上書きして古いものを消すというよりは、付け加えて増やしていくという感じです。

今n次元で考えているとしたら、新しい考え方を得たらn+1次元に行けるというか。より多元的に物事を見られるようになる気がします。

高山

なるほど〜意外とそれが難しいんですよね。

どうしても新しい考えを手に入れると、既存のものを捨てなければ、、のように思ってしまって。

河野さん

曲がりなりにも今までの20余年で培ってきた考え方なので、そう簡単に捨てるのはもったいない気がします。

高山

そこは僕にとって新発見でした。

自分も日々勉強ですね。少しまた視野が広がりました。河野さん、どうもありがとうございました!

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PenmarkNews編集長/24歳/社会人大学生/経験を生かし、大学生をはじめとするZ世代の皆さんの生活がより豊かになる記事をお届けします。
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