【Campus Runway Vol.24】慶應義塾大学3年 松尾翔悟さん

今回「Campus Runway」のインタビューに応じてくれたのは、慶應義塾大学経済学部3年の松尾翔悟氏だ。

所属サークルは例年アタリとされるテニサーのREGULATIONS。幹部もやっているらしい。
しかし、その辺のイケイケ大学生とはどうやら風体が違う。

実は、彼には以前にもこの連載に出ていただいたことがある。

本日のコーディネート

アイテム ブランド
TOPS JOHN LAURENCE SULLIVAN
OUTER (used)
BOTTOMS Wrangler
SHOES RANDOM IDENTITIES
BAG sacai

今日は、ウェスタンな雰囲気のあるカラフルなコーディネート。
そして最も目がいくのが、特徴的なバッグだろう。

sacai20ssのバッグ。地名も記載されている。

「これは、20ssのsacaiです。面白くてつい買ってしまいました。
全然ものは入らないんですけどね。笑」

それもそのはず、直径15cm程度の球だ。
小さな財布やカードケース、モバイルバッテリー等外出に最低限のものしか入らないという。

表面の地図は一応正確な地球儀のようだ。
世界は広すぎて自分がどこにいるのかわからないのに、この地図は小さすぎて自分がどこにいるのかわからない。

さて、今日のコーディネートのポイントはなんだろう。

「そうですね、特にないですけど、」と、予想通りの答えが返ってくる。

「黒が好きなので、オールブラックのことも多いのですが、今日は色味を入れようと思いながら好きな服を着ました。いつもは両手で6個くらいリングをつけているんですけど、手元のバッグの存在感が大きかったので今日はしていません。」

なるほど、個性的なアイテムを使いこなし、独特の世界観を演出している。

聞いておいて失礼だが、コーディネートのポイントなんて直観だと思う。
直観に後から理由を付け加えれば、巷に溢れる「ファッション理論」ができあがる。

でもやっぱりその直観が形成される下地を探っていきたい。

買い物は代官山から表参道まで歩く

「渋谷エリアと、下北沢によく行きます。

下北は駅前らへんですね。
渋谷の方は、代官山から渋谷・神南、そしてキャットストリートを通って原宿・表参道、というコースを行きます。」

渋谷コースは代官山から表参道の方まで全部歩くというのだから凄まじい。

「歩くのは嫌いじゃないんで。電車賃も節約できますし。
代官山で見たアイテム表参道にいるときにやっぱり欲しいなと思ったら歩いて戻ります。
1日使って買い物する感じですね。」

「インスタとかで気になったところは行ってみたりするんですけど、予め調べてから行くことはあんまりありません。
行くお店は毎回あまり変わらないですね。」

「ネットで買うことはないです。
アイテムによってサイズ感も違いますし、ネットでは着用感もわかりません
店舗に行って買いますね。」

新しいブランドやトレンドの情報はどこで仕入れるのだろうか。

「ネットで調べますね。
soenfashionsnapWWDとかをよく見ます。」

「新品と古着は半々くらいです。時期にもよるんですけど。
基本的にドメブラをよく着ます。インポートはヴィンテージが多いです。
ちょっと前まではdoubletが好きでした。
最近はsacaiギャルソンが気になりますね。」

「靴下とかタートルネックとかは、ノーブランドでも買います。
ブランド力も多少は気にしますけど、やっぱり物を見ていますね。

月によりますけど、時間があれば月に2,3回買い物に行きます。
行っちゃうとどうしても買っちゃうので、時間があっても行き過ぎないようにはしてますね。笑」

イヤリングはあのちとせ会館で買ったらしい。『アクセサリー類はブランド意識してないです。』

古着屋でアルバイト

ちらほらお金の話が出てきたところで、大学生らしい財政状況に迫る。

「平日の夜は飲食店、土日の昼間は古着屋でバイトしています。
古着屋は渋谷で学生OKのところを見つけて、半年くらいやってます。
服に使うのは平均して月7万くらいじゃないですかね。」

服を売っては買うというサイクルの人もいるが、彼はどうだろう。

「どうしても欲しいものがあってお金が足りない時は仕方なく売ることはあります。
でも、あまり売りたくはないです。

「サイズ感が思ったのと違ったり、yohjiのジャケットみたいに組むのが難しかったりして着ない服もあるんですけど、一応とっときます。
普段滅多に着てなくても、たまにこれ着てみようってなるので。
同じアイテムでも好きな時期そうでもない時期の差が激しいです。

「実家のマンションに住んでいるんですけど、最近収納で困っています。笑」

激しく同意だ。
実家だと、親御さんの反応はいかに。

最初はやっぱり反発されましたね。
何その服装、それの何がいいの、とか。

あとは、高いのを買うと洗濯表示がめんどくさいって言われます。

もう最近は諦められています。
写真とか撮られることもありますね。笑」

アウターは作りが非常に面白い。勿論、袖を通すこともできる。

飲み会の時の服装

普段の生活の服装はどうか。

授業で学校に行くときに特に抑えたりはしていません。好きな格好をして行きます。
服装でTPOをわきまえないといけないことってまだそんなにありませんし、学生のうちは尖っていたいという欲が強いです。」

「着る服は当日の朝、気温や天気を見て決めるのでだいたい遅刻します。
納得いくまで延々と悩んでしまうんですよね。笑」

飲み会の時は?笑

「飲み会は汚れてもいい格好で行きます。笑
飲むと決まっている日は絶対いい服は着ていきません

男同士だったらどうでもいいんですけど、気になる女の子がいたりするとジレンマですよね。笑
キめていきたいけど、どうしても汚してくないという葛藤があります。

これにも、激しく同意できる。
ファッションとその他の娯楽を両立させるのは難しい。

異性のファッションはどう捉えるのだろう。

「俗にいうユニセックスというよりも、セットアップみたいに性をそもそも感じさせないような服装が好きですね。
原色とかバンバン使って意味わかんない格好してほしいです。
とにかくその人のセンスが感じられる服装の子はいいなと思いますね。慶應にもそういう子がいるといいですけど。」

これは手厳しい。
でもまあ、ファッションに振り切っている女の子は服飾系くらいにしかいないだろうという結論に至った。

袖を通してみても面白い。

服との将来

どんな将来像があるのだろうか。

アパレル業界に入る気はあんまりないですね。
ずっと着て楽しんでると思います。
リメイクくらいなら少しやりたいです。」

「大学生の今は周りから変に思われても自分にしか迷惑がかからないので、今のうちにいろんな服を着ていきたいですね。
そして、社会に出てからも着ていける、一生付き合っていけるブランドに出会いたいです。」

「最近はデニムとか着るようになりましたね。
少し前まではセットアップが好きだったんですが、セットアップは大人になってからも着れるなと思って。」

「でも系統でいうと、どこにも寄りきらない感じですかね。
セットアップでシックに決めるときもあれば、古着でゆったりめなときもあります。
とにかく、いろんな服を着てみたいというのがありますね。

ただし、ストリートは着ません。パーカーとか1枚も持ってません。

好きなものよりも嫌いなものに個性が出ることは少なくない。

ダブルバックルの可愛らしいベルトは、togaのレディースライン。本当に様々な方面からアイテムを取り入れている。

背景の哲学に注目したい

「ストリートにもいろんな背景があるんでしょうけど、どうしてもただシルエットがゆるいだけに見えてしまう。」

今後は服を見る上で、ルックのテーマやコンセプト、ブランドの哲学といった背景に着目していきたいです。」

彼のファッション観、芯の通ったコーディネートは、ここから来ているのではないだろうか。

デザインの面白さも服の一部として大切なんですけど、バックグラウンドを理解した上で服を見ていきたいんです。
正直、表面的なデザインはちょっとパクれば格好良くなるじゃないですか。」

コピーアイテムの蔓延にファッション通は辟易しているのだ。
一世を風靡したBALENCIAGAのスピードトレーナーも、ふと手放したという。

「ちょっと言い方悪いですけど、いわゆるインフルエンサーが好むような見た目だけのブランドってあんまり惹かれないんですよね。
最近は韓国ブランドがそんな印象です。」

「僕がバイト代で初めて買ったのがLAD MUSICIANの花柄Tシャツなんですけど、個人的にはあのブランドも最近落ち気味なんじゃないかと思います。

斬新性と哲学性を両立するのって難しいし、だからこそ長く成功しているブランドにはコアなファンがいるんじゃないでしょうか。」

自己満足ではあるんですけど、ブランドのバックグラウンドを知った上で服を選びたいですね。
だから最近気になっているのはsacaiとかギャルソンなんです。」

背景知識は、どこからインプットするのだろう。

「山本耀司や川久保玲のインタビュー、自伝的なものは読みました。

あと、フランス語の先生にイブサンローランのドキュメンタリー映画を貸してもらったこともあります。」

フランス語の先生は、だいたいおしゃれ好きだ。
筆者も、フランス語の単位は授業におしゃれして行ったから取れたと思っている。

Random Identities のヒールブーツ。デザイナーのStefano Pilatiは、Yves Saint Laurentをはじめとする有名ブランドのデザイナーを歴任してきた。

「あとは、小説を読みます。

少し変わってると思われますが、太宰治や坂口安吾に共感しながら読んでいます。
人間くさくて、頽廃的な雰囲気にどこか惹かれますね。

小説とは作者が自分の哲学や思想に戯作を与えたものであると言われることがあります。
ただの読み物じゃなくて、そういう哲学的な背骨がある文章が好きなんです。」

「これは服にも通じると思っていて、服を通して自分の思想や世界観を表現していけたらと思っています。」

周りからは自己満と思われるかもしれないが、それは関係ない。
見かけ上ファッションは周りのためのものだが、周りの人を自分で規定している以上、ファッションは自己満足の域を出ないのである。

「服が好きな人は、とことん突き詰めればいいし、別にそこまで好きじゃない人は、興味なくていい。
一番心地よい方法で服と向き合えたらそれで良いと思います。

結局服との関わり方は、これに尽きるのだ。


 

ABOUT この記事を書いた人

不死鳥を飼い馴らす二十歳の法学徒。Penmarkのファッション担当であり、車狂い。ドリームカーはAlpineのA110。最近は、ヘーゲルの哲学と日々格闘している。クリープやマイヘアが主食で、彼女をこよなく愛している。
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