年が明け、2020年。激動の一年が幕をあける。
ついにオリンピックが東京に訪れる影響か、健康志向が広まりボディメイクのブームが到来しているようだ。
日頃の自堕落な生活を顧みて、今年こそは身体の偏差値を上げたいという諸君に、強力な参考書を紹介しよう。
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
創設 | 2018年6月 |
メンバー | 17名(男女比2:1) |
代表 | 商学部4年 武井勝哉(Twitter:@shiromi10ko ) |
公式Instagram | @keio_muscle |
面接 | 有り(役職が空いたら都度募集) |
代表者インタビュー
「慶應義塾大学筋肉図鑑」
その名前とフォロワー数を増やし続けるインスタグラムの投稿は印象的だが、具体的にはどんなことをしているのだろうか。
今回は、創設者兼代表の武井勝哉さんにお話を伺った。
━よろしくお願いします。まずは活動内容を教えて下さい。
よろしくお願いします。
主な活動内容は4つあり、
- SNSへの慶應生の掲載
- 三田祭の出し物の企画・運営
- 写真集の作成、
- 企業タイアップイベントの開催
です。
━なるほど、「図鑑」の編纂以外にも様々な活動を行っているんですね。サークルとしての集まりはどのくらいあるのでしょうか?
まず組織図として、企画・広報の下に推進部という実行部隊があります。
企画・広報はおおよそ月に2回、必要に応じて集まります。
推進部は月1くらいでしょうか。
━思ったよりも頻度自体は少ないのですね。では、1つ目の活動であるSNS投稿について詳しく教えてもらえますか?
慶應生の掲載については、SNS上での募集や知人の紹介が主で、キャンパス内で直接声をかけてスカウトすることもあります。
もちろん、慶應生ならばDMなどで自己推薦なども受け付けております。
撮影は、基本的に当団体のカメラマンが担当します。
掲載の基準は、1つはボディメイクという競技として見たときに筋肉が大きくて全体的に絞れていること、要するに大会出場者のような体つきであることです。
ただそれだけでなく、私たちはスポーツを通して発達した筋肉にも美しさを見出していて、例えば競輪選手の大腿筋のように、体の一部でも注目して掲載することがありますね。
━筋トレというと、やはり早稲田のイメージが強いのですが、その点はどうなのでしょうか?
そうですね。実際、そのイメージを持たれている方が多くいらっしゃいます。しかし、早稲田で有名なのはボディビルではないでしょうか。
私たちが取り上げているのは主にフィジークといって、上半身が逆三角形のようなバランスのとれた筋肉が評価される競技です。下半身が審査の対象にならないこともボディビルとの大きな違いになります。
慶應バーベルクラブさんからもフィジークの選手が多く出てるので、ボディビルの早稲田、フィジークの慶應という形で差別化を図っています。
━フィジークという競技は、恥ずかしながら初耳でした。具体的にはどんな競技になるのでしょうか?
上半身のバランス、極限まで削ぎ落とされた体脂肪などをポーズをとりながら審査する競技です。
彼らは“アスリート”として認識しても差し支えのないほど競技に情熱を注ぎ努力をしています。
━それでは2つ目の三田祭での出し物について教えて下さい。
今年度の三田祭では、マッチョカフェとボディビルコンテストを行いました。
━マッチョカフェとは斬新な催しですね。このアイデアはどんな意図から生まれたのでしょうか?
とりあえずカフェの店員が全員マッチョだったら面白そうだから、というのが大きいですね。
ただ、この企画にはコンテスト開催の資金集めという役割もありました。
完全に企業との協賛にしても良かったのですが、そうするとあまり自由なことはしにくいと考え、せっかくの三田祭なので企業からの賛同という形で運営しました。
━たしかに、学生団体である以上、活動資金の面も考えなければなりませんよね。お客さんの反応はどうだったのでしょうか?
当日は、長蛇の列ができるほどの人気でしたね。
特に、マッチョが歌を歌いながらプロテインを振って提供するという企画が人気で、SNS等で拡散されました。また、ウェブメディアの記事にも掲載させていただくなど、おかげさまで大盛況でした。
━シュールですが、中々見られない光景だったでしょうね‥‥コンテストの方も同様の手応えがあったのでしょうか?
コンテストは、事前にこちらで選抜した6名の選手がその肉体美を競うという形で開催しました。
800を超える定員がほぼ満席となり、ギャラリーはとても盛り上がりましたね。
公式戦でもあまりヤジはないのですが、会場が割れるほどの声援があったのを覚えています。笑
━これも、慶應生が出ているという親近感・会場の一体感を育んでいる筋肉図鑑主催ならではの魅力なのでは無いでしょうか。ちなみに、この準備には、どれほどの時間をかけたのでしょうか?
三田祭が終わったら、すぐに次の年の準備をします。
具体的には、組織を再編することからですね。
━三田祭ではもう一つ、写真集も作成していますが、こちらはどういう位置付けなのでしょうか?
『筋肉図鑑』という名前で活動している以上、なんらかの出版物は出したいと思っておりまして。
普段はSNSで投稿していますが、電子媒体が主流となった今、あえて紙媒体で作成することに意味を感じました。
━スタイリッシュなデザインをあえて冊子に落とし込んでいて、独自の魅力が出ていますね。
続いて、4つ目の企業タイアップイベントとは、どんなものなのでしょうか?
年に3、4回、企業に協賛をいただくという形でタイアップイベントを開催しています。
例えば今年度は
- 六本木のカフェでマッチョカフェ
- メンズのスキンケア会社との提携イベント
- 会員制カレーブランド〈6curry〉で店長を務める
といったイベントを開きました。
設立当初は基本的にSNSメインでの活動を行なっていましたが、実際に我々に会ってトレーニングについて聞きたいというお声を多数いただき、お応えできるようイベントを開催しています。
実際、三田祭では九州や四国からお越しくださった方もいらっしゃいました。とても嬉しかったです。
こうしたイベントを通して、認知度を広めるだけでなく、昔から見てくださる方々も大切にしていきたいと考えています。
創設の経緯
形の上ではサークルだが、このように異色の存在感を放つ慶應筋肉図鑑。しかしまだ設立してから日は浅い。
そこでまずは、ご自身のトレーニング歴について伺った。
━武井さんのトレーニング歴はどのくらいなのでしょうか?
中学生の時に部活でラグビーをやっており、その頃から部活動の一環としてトレーニングを行なっていました。
しかし怪我をしてしまい、部を辞めることになってしまいました。
高校では空手を始めましたが、ラグビー時代の食生活が抜けず、たくさん食べてしまっていたので太り気味だった時に、学校でマッチョコンテストがあり、これに出場するため減量を始め、結果的に1ヶ月で20kgの減量に成功しましたが、痩せ方が不健康で、好ましくない細さになってしまいました。
そこで、筋肉をつけるには正しい知識が必要ということ、そしてトレーニングと同様に食事も重要だということを学び、スポーツとしてのボディメイクに目覚めたのが本格的なトレーニングのきっかけだったと思います。
━こうした経験が、設立に繋がったのですね。
最初は筋トレをしていた友人にカメラマンとして手伝ってもらって、有名な水球部の選手と野球部の選手を撮りました。
そこから週1ペースでインスタグラムでの投稿を始めました。
反響や手応え
━こうした活動を続けてきて、周囲への影響を実感することはありますか?
個人的には筋トレに興味を持ったという人が周りに増えたと実感しています。
また、塾生会館のジム入館者が増えたという話も聞いたことがありますし、他にもSNSを介して様々な反響をいただいております。
健康志向な時代の流れもあると思いますが、筋トレの普及に寄与できるということが団体の設立目的であり、一番のやりがいです。
苦悩
ここで、少し意地の悪い質問をしてみる。撮影モデルの枯渇という問題だ。
━筋肉図鑑を運営するにあたって、モデルが見つからなくなることもあるのでしょうか?
この問題には何度も直面しています。
慶應にはマッチョがいないのかと思うこともありましたが、意外といるんですね。探し方が重要になってきます。
最初は人伝いでの募集が中心だったのですが、最近はSNSもうまく活用しています。
今後、新しい企画等も試して、筋肉図鑑自体の魅力を増やしてモデルを集められるような下地を作っていきたいです。
私たちを見て筋トレに興味を持った方が筋肉図鑑に載って、そこからさらなる飛躍をするというのが私たちの理想的な立ち位置です。
あくまで筋トレに励む人の応援に徹するというのが、筋肉図鑑のスタンスだ。
今後の展望
今後はどのような活動が展開されていのだろうか。
━今後、筋肉図鑑ではどのような活動を行っていくのでしょうか?
まずは上の4本柱を伝統化して、年々クオリティを高めていく事が目標です。
一方で、今後はトレーニング法の公開も積極的にしていきたいと考えています。
これまでは、一つの事を正しいと発信するとアンチがつきやすくなるので、あえてメソッドの公開は避けてきました。
しかし、お陰様で色々な方に見ていただけるようになり、トレーニングに関するお問い合わせも多数いただくようになったので、やはりそれにお応えする義務があると感じています。
特に塾生のためのノウハウ、例えばですが『スキマ時間を活用したトレーニング法』等に力を入れて発信していけたらと思っています。
━トレーニング法の公開をあえてしてこなかった理由にも頷けますが、一貫してファンのことを重視する姿勢が格好良いですね。
加えて、女性にフォーカスした食事やトレーニング法の発信もしていきたいです。
昨今は慶應義塾の不祥事から、女性が露出するメディアの展開に対しても風当たりが強いため、ここもあえて遠ざけてきました。
しかし、これは女性による女性フィットネスのための団体を設立・運営していくという方法で克服しようと準備を行っています。
大手フィットネスクラブ〈スポーツジム ルネサンス〉のトレーナーランキング1位の方に監修していただき、冷え解消・食事法等のセミナーを開催していきたいと考えています。
これまでは男性特化でしたが、姉妹団体では女性に焦点を絞った活動もしていく予定です。
初心者〜中級者向けのトレーニングやヨガなどのフィットネスを行うサークルの作成を考えているので興味がある方は僕にDMをください。
こちらは卒業してから個人的に活動していきたいと思っております。
もちろん、売り上げは筋肉図鑑の活動費用に充てるつもりです。
筋肉図鑑とは
最後に、筋肉図鑑のあるべき姿を聞いた。
私たちは、筋トレを志す方々のモチベーションを高める団体です。
団体としての拡大や、競技チームとしての大会結果は全く望んでおりません。
まずは筋肉図鑑を見て筋トレに興味を持ってもらうこと。
そして登竜門的存在として、まずは筋肉図鑑に載ること、さらには写真集にも収録されることを皆さんの目標にしていただけるように、筋肉図鑑自体の魅力を高めていきます。
筋トレに励む方々に目標を提供し続け、筋トレをもっと世に広めていくことが私たちの使命です。
そう語る代表の目は力強かった。
筋トレ界のまさに縁の下の力持ちとして活躍する慶應筋肉図鑑。これからの活動に期待が高まる。
彼の活動が気になる方はぜひTwitter(shiromi10ko)もフォローしてみよう。
おまけ
武井代表は来年から、低温調理器と昆虫食のスペシャリストを目指しながら、歯科大学に通うらしい。
彼のマルチな活動には今後も注目だ。