公認会計士は医師、弁護士とともに「三大国家資格」と称される資格の一つです。
公認会計士を目指している友達が身近にいる、もしくは自身が目指している、という方もいらっしゃるかと思いますが、その将来のキャリアを考えた際に、
「公認会計士になる」=「監査法人に就職する」
というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、実際「公認会計士」という資格を持つことで活躍できるフィールドは「監査法人」だけに留まらず、
- 独立開業
- 起業
- 上場企業勤務
- 社外取締役
など多様なフィールドに渡ります。
この記事では「公認会計士」という資格を持って社会に出た時にどのように活躍できるかを、公認会計士スクール「CPA学院」の講師であり、「起業家」でもある山本健太郎さんのインタビューを交えてわかりやすく解説していきます。
これから公認会計士を目指そうとする大学生の方、また既に公認会計士スクールに通っている!という大学生の方必見です!
目次
山本さんのプロフィール
項目 | 詳細 |
---|---|
氏名 | 山本健太郎 |
大学 | 慶應義塾大学 商学部卒業 |
資格 | 公認会計士 |
現在 | 株式会社SoVa 代表取締役CEO |
経歴 | 2014年 大学3年時に公認会計士試験合格、資格学校予備校講師 2016年 太陽有限責任監査法人 非常勤スタッフ 2017年 株式会社DADA 取締役CFO 就任 2019年 株式会社DADA退職、株式会社SoVa設立 |
公認会計士を目指したきっかけ
大学1年生の7月にダンスサークルを追い出される。
1つ目のエピソードは大学受験の時に遡るのですが、当時僕は友達3人と東大を目指して勉強をしていました。
結局、東大に合格したのは3人の中の1人だけだったのですが、その友達が
「将来は公認会計士になりたい」
という風に言っていた言葉が何となく頭の片隅にあった、という事がまず一つのきっかけです。
それで公認会計士に関心を持たれたんですね。
ただ、きっかけはそれだけではないんです。
慶應に入学した後、ダンスサークルに入り、ダンサーを目指そう!と頑張っていたのですが、入って1か月程経ったある日、先輩から
「めちゃめちゃセンス無い。。。」
と言われてしまって…。
「基本ステップすらできないからやめた方がいいよ」
と言われ、入学したての7月位にサークルを放り出される、という事件がありまして…。
「これからの大学生活どうしよう、、?」
と途方に暮れていたときにたまたま公認会計士予備校の看板を見て、
「試しに挑戦してみようかな…」
という気持ちで始めたというのが2つ目の理由ですね。
そういった予備校に入るときは、体験をしてから入る!という方と、いきなり入る!という方に分かれると思うんですが、山本さんは即決した感じだったのですか?
”簿記三級”の講座を無料体験できるという事で、特に僕は商学部だったので簿記三級なら持っていても損は無いなと思って試しに挑戦してみたんです。
せっかく無料だったら受講してから考えても良いかなと思いまして…。
「試しにやってみて面白かったら続ければいいな」
ぐらいの感覚だったので、この時は公認会計士を目指すつもりはほとんどなかったですね。
それまで、「公認会計士」の資格について、「医師」・「弁護士」と並ぶ資格ぐらいの認識しかなく、業務内容等は全く知りませんでした。
予備校の講師の方が実際に公認会計士をされている方で、そこで色々な話を聞いているうちに、
「意外と将来の選択肢としてアリなのかもしれない」
と思って目指すことにしました。
山本さんのキャリアステップについて
監査法人に進まずベンチャーの道へ
山本さんは、ベンチャー企業に参画したのちにご自身で起業をされてらっしゃるかと思うのですが、そこに至るまでの流れを教えて頂けますでしょうか?
その後、卒業のタイミングで同級生が起業するという事でまずはボランティアという形で、経理や財務系の所謂バックオフィス業務を手伝わせて頂きました。
そうしているうちに、代表の方から
「一緒に会社をやらないか?」
というお話を頂き、ジョインさせて頂いたという形でしょうか。
そして現在は自身の会社を立ち上げ事業を進めつつ、様々な業種の約10社ほどにアドバイザーや外部役員のような形で関わらせてもらっています。
公認会計士としてベンチャー企業に関わる事の魅力はどのようなものなのでしょうか?
監査法人が対象としている会社は規模が大きく、売り上げも○億・○十億といった桁の数字を扱うことも多くあります。
その中で僕らの業務は、売り上げの昨年比の増減について、会社が作成した報告書に不正が無いかチェックといった監査業務などを担っています。
そういった監査業務の中で、例えば売り上げが前年比+1億円だったとき、その売り上げはどのようにして得られたか、などを企業にヒアリングしていく業務があるのですが、やはりベンチャーのような会社さんだとその1億円であっても非常に大きいドラマが詰まっているわけですね。
そういった数字の裏にあるドラマのようなものを一緒に触れられる点が、ベンチャーやスタートアップの担当をしている際の魅力でしょうか。
では現在もご自身の会社でそのような事業をされているんですか?
現在の会社(株式会社SoVa)では、公認会計士や税理士、司法書士など様々な専門家の知識や経験をデータベース化していくような事業に取り組んでいます。
そういった知識を共有しながら、各種経営のアドバイスなどをベンチャー企業等に対して行うのがメインの業務でしょうか。
現在は10社様ほどの業務のお手伝いをしており、その中には大学時代にパフォーマーとしてはあきらめてしまったダンスの会社だったり、同級生が立ち上げたロボット開発の会社だったり、はたまたNPO法人や社団法人関係の業務など、非常に幅広い業種について担当させて頂いてます。
ありがとうございます。
公認会計士を目指すか迷っている大学生へ
公認会計士の魅力とは
一言でいうと山本さんにとって公認会計士の魅力とはどのようなものなのでしょうか?
「公認会計士の魅力」
という事で僕の中にあるものは、自分の人生の大半をこの「公認会計士」という5文字で説明できる、という事ですね。
たとえば大学生なら、
「○○大学の××です」と名乗りますし、会社員であれば
「○○会社の××です」と名乗るわけです。
つまり、何かに所属している自分、という形になるのですが、公認会計士であればこの5文字が前に来る。
プロとして生きる、という事が一番の魅力ですね。
そして、プロとして様々な世界の方とコラボレーションできるという事が凄く素敵な事だと思っています。
自分の持っている力を様々なフィールドで生かせるという事がやりがいです。
公認会計士のキャリアの広がりは講師に聞こう
僕らのころは選択肢が本当に限られていて情報も中々集まってこなかったのですが、今は講師に相談したり、自分でアンテナを張っていればしっかり将来設計ができるようになってきたと思います。
当時は監査法人に行くのが当たり前だったので、僕が卒業後に予備校の講師になり、ベンチャーの道に進んだという事は周りから非常に不思議がられていましたね。
意外と公認会計士を目指している生徒さんであっても、実際のところ公認会計士がどんな仕事をしているのかわからないと言われることが多いんですよね。
そうなんです。
キャリアについての専門の授業は無いのですが、講義内で講師が雑談も交えながら将来のお話をすることはよくあります。
公認会計資格を持っていて、実務経験があるという講師も多いので、キャリアプランについてはどんどん講師に相談するのがよいと思っています。
公認会計士は難しくない
公認会計士に興味を持つ学生の方は多いと思うのですが、実際に「こんな人が向いている!」というのはあるのでしょうか。
僕の個人的な印象としては、予備校での授業や予復習などが忙しいのでそれに耐えられるような規則正しいことに耐えられる人、のように勝手に考えているのですが実際はどうなのでしょう?
才能とかの勝負ではなく愚直に努力できるかどうかが大切になってくると思います。
例えば大学受験だと、めちゃくちゃ英語が出来る帰国子女の方なんかもいたりするじゃないですか。
でも、公認会計士の勉強をもともとしていた・できる、という方はまずいらっしゃらないので、全員が初めて予備校のテキスト等で公認会計士の知識を学ぶわけです。
しかも試験自体、予備校のテキストで学んだことがそのまま出たりするので、1つ1つの努力を怠らずにできる人が強いと思います。
なので、向き不向きや素質は一切関係ないと言ってしまっても過言ではありませんね。
じゃあ、今まで勉強が得意かどうかもあまり関係ないという事なんですね。
これまでの勉強が出来なくても公認会計士を目指すことは十分に可能だと思います。
また、
「数学ができないと公認会計士は厳しいのでは?」
と考えられる方がいらっしゃいますが、公認会計士の勉強の際に出てくる数学要素は難しくて二次方程式レベルなので全く問題ありません。
しかも計算は全部電卓で行うので、数学の得意不得意は全く関係ないと思いますよ!
大変な試験を乗り越える秘訣とは
なんだか僕にも目指せるような気がしてきました。
とはいえ、合格までかなり大変な道程と言われている公認会計士の試験を大学3年生で合格されるというのはやはりすごいことだと思うのですが、その秘訣はなにかあるのでしょうか?
①一つ一つの授業の内容をしっかり理解すること。
これは予備校でも一番言われることなんですが、1つ1つの授業をちゃんと理解して、それぞれに集中するのが一番大事なことですね。
公認会計士の勉強が大学受験の勉強と大きく違うのは、学んだことをその後使うかどうかです。
受験勉強の知識はその後活用する機会が少ないですが、公認会計士の場合はそこで学んだ知識を実際の業務で使っていくので、日々の勉強が非常に大切になってくるわけです。
受かっておしまい、ではなくその後もしっかりとその知識を生かしていかないといけない職業になってくるので尚更自分の頭の中で理解する必要があるんです。
なので、しっかり授業やテキストを理解したうえでわからないことがあったらしっかり質問するという事を意識するのが良いですね。
僕の在籍しているCPAでは、いつでも相談したり質問ができるような体制があるので、もし予備校に在籍しているのであれば質問をしてわからないところはすべて解消する癖をつけるのがおすすめです。
②授業に遅れた時にしっかりと立ち直れるかが大事。
でもやはり自律して勉強を行うのは厳しい気がしてしまいます。
そうですよね。
公認会計士の勉強は内容的にはやはり難しい部分もあるので、特に大学生は周りの誘惑に負けてしまいがちです。
僕も実はそうだったのですが、学祭の準備なんかをしているときに予備校に行くのが本当に嫌になってしまって。
1か月ぐらい行かずに20コマぐらい落としてしまったこともありました。
ですね…。
1年生の時はサークルの夏合宿に行ったり、何ならバイトもしたりとプライベートの部分もなにかと忙しかった時期がありました。
やっぱり大学生は周りの誘惑に流れてしまうという事は不可抗力なんですよね。
でも、予備校もしっかりそれを理解していて、軌道修正するノウハウもあるので、大切なのは遅れた時にしっかりそれを相談できるかどうかですね。
正直に言ってもらえればそれをサポートすることが出来るので、まずは相談しましょう。
公認会計士を目指す大学生へのメッセージ
公認会計士試験はやはり難しい試験なので、挑戦するにあたって失敗やお金などのリスクを考えてしまうこともあると思います。
ただ、繰り返しお伝えしているように全員が初めて臨む、努力勝負の試験です。
頑張る後押しは予備校スタッフも全力で行っているので安心してください。
卒業してみて一番後悔するのは、挑戦しなかったことです。
ダンスだったり、他にはプログラミングだったり、僕自身もやってみてダメだったことはいくつかあります。
でも挑戦してみてダメだったものはあきらめがつきますが、理由をつけてやらなかったものはあとあとまで後悔が続いてしまいます。
悩んでいる方はぜひ、人生に失敗はないので臆せず挑戦してみて欲しいです。
では、早速山本さんが大学時代に「公認会計士」を目指すことになったきっかけについて教えて頂けますでしょうか?